これまでの活動の経緯

ニュース、アピール文、
チベット・ファウンデーションによる
現地からの活動報告一覧です。




緊急アピール
1996年2月27日、ロンドン発
ロンドン・チベット・ファウンデーション


 雪が降ります。車は立ち往生、学校は閉鎖、水道管が凍って破裂。

 これが海抜4500メートル以上のチベットで起こったこととしたらどうでしょ
う?

 今朝、チベットファウンデーションはチベットから緊急メッセージを受け取
りました。予想もしなかった大雪と異常寒波により、東部及び北部チベットの
遊牧民居住区、カムのザチュカとその隣のアムドのユーシュの2地区で大きな
被害が発生しています。
 例年よりも6週間も早くから、過去100年で最悪の吹雪が続き、最低気温は
-45度を記録しました。
 この吹雪で20万人の遊牧民が住む地域に被害が出ています。

 カムとアムドでは、
・50万頭以上の家畜が死にました。
・28,000人以上が雪目や凍傷にかかりました。
・17,000人が孤立状態となりました。
・42人の死者が出たと伝えられています。

 悪天候が続いており、被害は拡大する見込みです。

 異常気象に対処する設備もなく、牧畜による伝統的な生活が破壊されたこの
ような地区では、緊急援助が今すぐに必要です。

 チベット・ファウンデーションでは緊急アピールを行なっています。これらの
地域に住むチベット人に援助をお願いいたします。火を起こすための燃料や茶
やツァンパといった日々の暮らしのための食料、また寒さをしのげる服を提供
したり、必要な交通・通信を復旧するといった、彼らのくらしを守るため、現
地で行なわれている取り組みを支援したいのです。

 たしかに英国で寒さをしのぐのは大変ですが、ただ、今日を生き延びること
で精一杯になっている人達のことを思ってみてください。


緊急アピールに関する最新情報
1996年3月1日発行
ロンドン・チベット・ファウンデーション


               危機的天候
           25,000人以上の遊牧民が孤立

セルシュには海外からの援助が届かず。
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 「国境なき医師団」はアムド(中国青海省)の6万人の遊牧民のために約1
億円の援助活動を展開中です。しかし、現時点で、カムに隣接するセルシュと
セルタの31,000人以上の遊牧民に対しては、海外からの援助は届いていませ
ん。チベット・ファウンデーションはこの地域に対して特別に援助金を集める
こととしました。ザチュカ政府のゼポ代表とソナム・チューペル保健部長
は、(チベット発展基金会より派遣され)現地での救援活動にあたっているツ
ェワン・ニマに、ザチュカとセルシュの状況は大変厳しいと伝えています。
 その状況は、
・25,111人の人について穀物がなくなりました。
・1,200世帯(約6,000人)が家畜をすべて死なせてしまいました。
・46人の死亡が伝えられ、56人が瀕死の状態にあり、147人が重体です。

援助を継続することが必要です。
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 この地区への援助については、緊急援助を行なうとともに、長期にわたる援
助を続けてゆかねばなりません。
 緊急援助として、最低約2,000万円が必要となる見込みです。これで、天候が
回復するまでのつなぎとして、1日1人あたり400gの穀物と、1家族あたり
2枚の毛布を配ることができます。今日、チベット・ファウンデーションは支
援の証として約80万円を現地に送りました。向こう6ヶ月の間、毎月30日に集
まった支援金を現地に送ります。
 長期的な援助として、当面、最低約1億円が、家畜を失ってしまった人達の
ために必要です。これで、すべての家畜を失った家族のために、少ないにせ
よ、とにかく10頭の羊と4頭のヤクを引き渡すことができます。この支援は
今年8月30日まで続けられます。

我々は確実に、あなたから頂いた義援金をこの地域のチベット人の手元に届
けます。チベット・ファウンデーションの代表とチベット発展基金会の職員
が、これらの援助物資の引き渡しを監督することになっています。

 チベット発展基金会はチベット・ファウンデーションと常時連絡を取り合い
ながらチベットでの援助活動を進めています。
 現地のツェワン・ニマの西寧からの電話連絡では、3月1日現在、悪天候が
続いており、今後が心配されるとのことです。

 どんな金額でもOKです! 約55円で1kgの大麦が、約3,800円で羊が1頭、
約12,700円でヤクを1頭買うことができるのです。


緊急アピールの続報
1996年3月15日
ロンドン チベット・ファウンデーション


             緊急アピールの続報
        56,000人のチベット遊牧民の生活が破壊さる


 今朝(3月15日)に東チベットより悲惨な知らせを受け取りました。四川省
のセルシュ、セルタ、デルゲといった地区では19,545人のチベット遊牧民が
家畜を全て失い、56,608人が食料がなくなり、25,470人が寒さ関連の病気
で苦しんでいます。この知らせは我々が当初緊急アピールを出した2月27日や
その続報を出した3月1日時点で予測したよりもさらに深刻なものです。

 3月1日時点ではセルシュの情報しかありませんでした。今日になって、我々
の現地代表がセルタとデルゲの情報を伝えてきました。これら外国の支援が届
いていない地域においては、遊牧民の生活の破壊状況は、過去に類を見ないも
のとなっています。

 この惨状をもたらしたのは、気温-45度を記録し、また、5ヶ月にも渡って続
いた降雪でした。これは過去100年間で最悪の降雪です。数千人規模の遊牧民が
寒さ関連の病気に苦しみ、また、数千人規模の遊牧民が、物乞いをすべく自分の
土地を出てゆきました。

 チベット・ファウンデーションは現在、長期にわたり持続可能な援助計画を策
定したところです。2週間以内にはロンドンより被害地区に実際に行ってみること
としています。


吹雪についての特別情報(米国)

 あわせて、アメリカのTibet Funds(注:英国チベット・ファウンデーションとは 別団体です)も、今回の東チベットの寒波支援に対するアピールを出していますので、 特に現状部分を中心に紹介します。
 アメリカでも関連団体がクリントン大統領に対応を要請するほか、支援金集めを展 開しているとのことです。
 あわせて、ダライラマも15,000ドル(約150万円)の支援を行われました。


1996年3月19日

                          吹雪についての特別情報(抄)

友人そして支援者のみなさんへ

 2月28日付けの「ロンドン・ガーディアン」紙は、「今世紀最悪の吹雪によ
り、数万人規模のチベット遊牧民が、食料、衣服、燃料の基盤となるヤクやヒ
ツジを失い、生活の危機に瀕している」と伝えています。

 「国境なき医師団」(Doctors Without Border/Medecins Sans Frontiers)
 によれば、チベット高原の中でも高地にあるこれら地域では、気温が-47度まで
下がり、3分の4以上の家畜が死んでしまったとのことです。同団体の医師によ
ると、これは人道的見地からみて破滅状態のことです。

 吹雪は1995年11月から襲来しましたが、死者や被害の状況が外部に判明した
のは「国境なき医師団」のセルジュ・デュポチュールがジェクンドを訪れた2月
遅くになってからです。同氏および「国境なき医師団」が吹雪について明らかに
する際の第一次情報源でした。しかし、西側のマスコミにおいては、この件はま
ったく扱われておりません。

 死者および被害の実例は以下の通りです。

1. ジェクンド(青海省:人口約20万人): 2月末までに、ジェクンドでは70万
頭以上の家畜が死に、10万人以上の遊牧民が飢餓に瀕しています。援助団体職員
の推定によれば、25,000人が家畜を全て失い、55,000人以上が80%以上の家畜
を失った模様です。また、凍傷や雪目といった事態も深刻です。
 5月初めまで続くであろう吹雪の中で生き延びるために、この地域だけで250
万ドル(約2億5000万円)が必要です。

2. ザチュカ(四川省;人口約63,000人): この地区も吹雪で被害を受けまし
た。国連によれば、48人の死亡が確認されました。チベット発展基金は北京よ
り支援金の要請を行いましたが、その際の報告では、48人の死亡のほか、
15,252人の遊牧民が雪目をわずらうか、もしくは重傷であり、10万頭の家畜が
死に、72,000頭近くが流産したと伝えています。

 ザチュカでは約4,000世帯、19,000人の現在、この大災害に苦しむ人達に基礎
的な援助活動を行うために18万3000ドル(約1800万円)が必要です。

 チベット発展基金では関心がジェクンドに集中し、ザチュカや他の地域の状況
が見過ごされていると指摘しています。これらのデータは1ヶ月以上前のもので
す。


"Save the Nomads!" プロジェクト宛
1996年4月18日

 東京 "Save the Nomads!" プロジェクト宛
 ロンドン・チベット・ファウンデーション代表 プンツォ・ワンギェル発

1) "Save the Nomads!" プロジェクトがとりまとめた支援金2500ポンド(約40
万円)を確かに受領しました。暖かい支援に感謝いたします。

2) 英国チベットファンデーションからはカムの被災地域で現地活動にあたる担
当者を派遣する手続きを行っているほか、4月18日には中国の旅券を持っている
チベッタンを、チベット・ファウンデーションの代表として四川省に派遣しまし
た。当団体の中国国内の支部である、チベット発展基金会(注:ラサのチベット
人支援のためのNGO)の援助担当も同省カツェ(Katze)チベット民族自治州
に駐在しています。
 当チベット・ファウンデーションのために10,000ポンド(約165万円)分の穀
物が購入され、このロンドンより派遣した代表が現地に到着次第、援助を求める
遊牧民に提供されることになっています。

3) 現地の最新状況については、雪は溶けているものの、高地ではまだ残雪があ
ります。雪が完全に溶けた地区もあるにしても、ほとんど牧草が生えていない状
況です。遊牧民は必死になって牧草の生えていそうな所を探しています。これは
大きな問題となっています。
 食料も不足しています。被害がそれほどひどくないところもありますが、被害
が深刻な地域の遊牧民達は親類その他から食料やカネを借りてなんとか生き延び
ています。よって、彼らは一層貧困に落ち込んでいます。
 標高が高く、気温が低く、牧草の成長が遅いということで、彼らの経済システ
ムは脆弱なものです。家畜は依然死んでおり、遊牧民は少ない食料で生活し続け
ています。
 死んだ動物の肉を煮て、ヤクにエサとして与えている者もおり、また、それを
自分でも口にする者もいます。しかし、これで病気になると言われています。
 地元の人達によると、このような災害は周期的に発生しているとのこと。1985
年にも災害があり、その前には1973年に起こったとのことです。地元の人による
と、10年毎に大災害が、5年毎に中規模の災害が、3年毎に小規模の災害が発生
しているとのことです。
 一時しのぎの支援では本当の解決にはならないでしょう。

 長期的な視野にたった解決策に注目する意見が増えています。まずは全ての家
畜を失った遊牧民に対して、十分な数の家畜を提供することです。当初、これに
ついては約58万ポンド(約9500万円)が家畜購入のために必要と計画していまし
た。我々の支援呼びかけに対する反応に手応えはありましたが、今のところ、集
まった支援金は25,000ポンド(約410万円)位です。
 この家畜提供の実施は6月に開始するよう提案がありました。まだ家畜がやせ
ている時期で、安く買えるということで、支援金を有効に使えるとのことです。
現地に派遣した当ファウンデーションの代表に、これが事実か確認させています。

 また、地元の政府では幾つかの計画を考慮しています。これは4つポイントが
あり、
(1) 冬用の牧草地を囲ってしまう。これは夏の間に牧草地を保護し、冬の間、牧
草が不足すればこの囲いをはずして家畜に提供するというものです。
(2) 冬燕麦を栽培し、干し草を収穫し、家畜にかいばを与えられるようにする。
(3) 冬の間に死んでしまう可能性が最も高い若い家畜のための冬期用シェルター
を作る。
(4) 遊牧民のために冬用の住宅を建てる。冬以外には牧草地でテント生活を送る
こととする。
 ただ、これには適切な調査と計画立案のための専門知識が必要で、安易に取り
組めるものではありませんが。

(抄訳;チベット・ファウンデーション会員 浅田 英克